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2004.03.04

理由/宮部みゆき

理由(amazon)

コンプリートしました。
600ページの大作で、読むのに結構時間がかかってしまいました。
最近、長距離出張がなかったのも一因。

高層高級マンションの一室で起こった、一家四人の殺人事件。この物語は、事件がすでに決着した後、改めて事件の真相を取材した、ルポルタージュの形式ですすんでいきます。この取材した記者の人格は一切出てきません。男か女か、一人か複数かも分かりません。登場人物は、この記者からのインタビューの形式で発言しています。こういう話の進め方もあるんですねぇ。最初は面食らいましたが、感心しました。

事件の関係者である登場人物は、非常にたくさん出てきます。そして、ルポの中で、その人たちの人生が非常に細かく書かれています。特に家族。私は、「家族」がこの作品のひとつのテーマだと思いますが、非常にたくさん出てくる、そのほとんどの家族が、何かしらの理由でうまくいっていません。まあ、うまくいっていたら事件なんて起こらないのでしょうけど、そのそれぞれの家族のそれぞれの理由が複雑に絡んで、ひとつの殺人事件に発展して行きます。その部分の伝え方は非常に面白く、このルポ形式の文章がそれをとても引き立たせています。

私は、読んでいくうち、「うまくいっている家族なんて世の中にひとつもないんじゃないか?」とも思ってしまいました。
でも、この物語の最後、ある一家の母親が話した言葉、「帰る場所も行くところもないってことと、自由ってことは、全然別だと思うけどね」という言葉には考えさせられました。ある登場人物は、家庭環境が悪く、家族を邪魔だと思って、自由になりたくて家を飛び出します。でも、結局「家族」という形式からは逃れられませんでした。自由を望むということは、帰るところを必要とする、ということかも知れません。自由と孤独は紙一重だけど違うのです。

かなり面白かったです。「火車」には及ばないかもしれないけど、おすすめの一冊。

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